コミュニケーショングループ

コミュニケーショングループとは

現在,コミュニケーショングループでは通信速度の向上を目指し,無線全二重通信に関する研究を行っています. 同一周波数帯で同時に送受信を行う無線全二重通信では,自分が発した信号が相手からの信号に混じって受信されます. このことを自己干渉といい,無線全二重通信を実現するためには自己干渉を低減する必要があります. そこで,私達はアンテナ構造とディジタル信号処理という2つの手段で自己干渉を低減する方法を研究しています.

単語帳
全二重通信自己干渉アンテナ自己干渉抑制アナログ自己干渉除去ディジタル自己干渉除去

テーマ1:アンテナ・キャンセレーション

無線全二重通信において,自己干渉を抑制するために最初に活躍する技術が,アンテナ・キャンセレーションです. 私たちの研究室では,車車間通信環境を想定し,高い自己干渉抑制と前後二方向に高い利得をもつアンテナ構成を提案しています. 提案アンテナ構成は,二つのダイポールアンテナと,五つの寄生素子により作製しており,寄生素子長を調節することで,高い自己干渉抑制量と前後二方向への高い利得を達成します. 提案アンテナ構成は,シミュレーションと実機実験において評価され,広い帯域で高い自己干渉抑制量を示しております.

提案アンテナ構成

作製したアンテナ

テーマ2:ディジタル自己干渉除去

アンテナ・キャンセレーション及びアナログ自己干渉除去によって,自己干渉信号は大変小さくなります. しかしながら,それでも通信相手からの信号とくらべればまだ十分に大きいため,さらなる自己干渉除去を行う必要があります. 全二重通信を達成するための最後の自己干渉除去としてディジタル自己干渉除去があります. ディジタル自己干渉除去は,数値を用いた計算(ディジタル信号処理)によって自己干渉信号を除去する手法です.

自己干渉除去の各段階での信号電力の例

実機(USRP)による提案手法の性能評価

ディジタル自己干渉除去では,アンテナ・キャンセレーションやアナログ自己干渉除去とは違い,無線送受信機に含まれている素子(増幅器,ミキサなど)の非理想的な特性を考慮する必要があります. 多くの非理想特性を考慮して計算するディジタル自己干渉手法は,もちろん高い自己干渉除去性能を発揮します. しかし,トレード・オフとして同時に高い計算性能や消費電力を要求します. そこで私達の研究では,信号の性質や分割統治に代表されるアルゴリズムをディジタル自己干渉除去に応用することで,小さな計算量と高い性能の両立を目標にしています.

H28年度の成果として,周波数領域信号処理を利用することで,ディジタル自己干渉除去器の学習に必要な計算量を約4000分の1まで削減いたしました[小松H28]. 従来より,周波数領域信号処理を用いたディジタル自己干渉除去アルゴリズムは多数提案されてきましたが,既存手法では高周波回路素子の非線形特性を上手く再現できませんでした. 本手法では学習用信号に工夫を施すことで,非線形特性を効率よく学習することに成功しました. また,本手法は従来手法と比べて高い柔軟性を持つことから,本手法をベースとして,より高い性能を持つ自己干渉除去アルゴリズムが新たに開発できると考えています.

Reference

[小松H28]: K. Komatsu, Y. Miyaji, and H. Uehara, "Frequency-Domain Hammerstein Self-Interference Canceller for In-Band Full-Duplex OFDM Systems," IEEE Wireless Communicaitons and Networking Conference (WCNC2017), March 2017.