ネットワークグループ

ネットワークグループとは

ネットワークグループでは,無線センサネットワークやアドホックネットワークを便利にするための研究を行っています.具体的には,次の2つのことに着目しています.

  • 消費電力の削減
  • 円滑な通信のためのメディアアクセス制御
無線センサネットワークやアドホックネットワークでは端末がバッテリによって駆動しています.したがって,長時間駆動させるにはより小さい電力で駆動させることが必要です.
また,通信を行う際に情報を高速かつ正確に伝送することができれば必要な情報を短時間で収集できるため,効率よく情報を収集することができます.したがって,適切なメディアアクセス制御が必要です.

単語帳
無線センサネットワークアドホックネットワークルーチングメディアアクセス制御

消費電力の削減

  • 無線センサネットワークにおける集団行動に対応したクラスタリング手法

  • 無線センサネットワークは,災害時における避難,救助システムのように,端末が集団で移動する場合にも応用することができます. 災害地におけるこれらのシステムでは,人々が避難のためにセンサノード(端末)を持ち,集団で移動することを想定します.

    本研究では.電力効率の良いクラスタリング方式の設計を行います.具体的には,制御信号を削減するとともに負荷を分散させることで,より大規模なネットワークに対しても適したクラスタリング方式の設計を目標としています. 更に,グループが移動することで,それまでのクラスタ構成が電力面で最適ではなくなる可能性があります.したがって,提案する方式ではクラスタを再構成することを可能にすることも目標としています. これらの機能を実現するために,提案する方式ではセンサノードを以下の3つの種類に分類しています.

    クラスタヘッド(Cluster Head) 
    基地局にクラスタ内で集めたデータを送信する.
    グループリーダー(Group Leader)
    クラスタの構成するためにクラスタヘッドと通信する.
    グループメンバー(Group Member) 
    データを送信する役割のみを持つノード.グループリーダーにデータを送信する.

    クラスタリングされたノード(グループ)

  • 省電力無線センサネットワークのための前進ベース最近傍ルーチング

  • 環境中の温度や湿度といったデータを取得する無線センサネットワークの運用には,電池で駆動する多数のセンサノード(端末)を用いるため,ノードの省電力化が重要な課題となります.その解決策として多くのルーチング手法(どのノードがどのノードと接続すべきかを考えること)が提案されていますが,ネットワークの運用にどの程度の消費エネルギーが必要かをノード敷設前にあらかじめ知ることができれば,最も省エネルギーとなるネットワークトポロジ(接続形態)が選択可能となります.

    そこで本研究では,各ホップにおいてシンク(データ送信のゴール地点)方向にデータパケットを送信する「前進ベース最近傍(PNF)ルーチング」を提案します.そして,そのパケット転送方式を用いたマルチホップ型トポロジを考えることで,パケットの「転送角」を調整することによりトポロジをパラメータ化することができるようになります.つまりどのようなトポロジにしたいかを,転送角という1つのパラメータで決めることができます.このとき,省エネルギーが達成できる最適な転送角がどれくらいになるのかを解析的に求めるため,ネットワーク内でデータを転送する際に消費されるエネルギーを,確率幾何学という理論を用いて解析することで定式化します.

    提案したルーチング法及び定式化したエネルギー式により,1)ネットワークが狭いor転送角が小さいときに精度よく消費エネルギーが近似できること,2)省エネルギーを達成する最適転送角が導出できること,3)多くのネットワーク環境においてデータ転送時のエネルギー効率が向上できること,以上の3点を達成しました.

    PNF経路構築法

    最適トポロジ一覧(円形ネットワーク)

  • 不均一トラヒックを考慮した階層化ネットワークの省エネルギー構成

  • 環境,医療,農業など様々な分野で使用されている無線センサネットワークにおいて,将来的に設置されるセンサノード(端末)の数が膨大に増加することが予想されています.大量のノードを用いたセンサネットワークではトラヒック(データの交通量)の増加に伴う消費エネルギーの増加が問題となっています.

    そこで,ネットワーク内をいくつかのセル(グループ)に分割する階層化ネットワークを用いることで,消費エネルギーを削減することができます.しかし,実際のネットワークにおいて,ノード配置の偏りや送信データサイズの違う場合など,トラヒックが不均一である状況を考えなければいけません.本研究では,トラヒックが不均一なときにどのように階層化を行えば消費エネルギーを削減できるかを検討することを行っています.

    階層化されたネットワーク

円滑な通信のためのメディアアクセス制御

  • 指向性アンテナを用いた全二重マルチホップ無線通信のための
    メディアアクセス制御方式

  • 通信端末に複数のアンテナを搭載することで複数の端末と同時に送受信できる無線全二重通信や特定の方向に強く電波を放射する指向性アンテナで他方への干渉を抑えることができる指向性通信という技術によって無線通信の通信速度や通信品質を向上できます.しかし,それらを端末同士で直接無線通信によって送信元から宛先まで端末を経由して構築する無線マルチホップネットワークで効率的に活用し通信速度や通信品質を向上するためには,データの送り方を定義するメディアアクセス制御方式の検討が必要です.

    本研究では,送受信に二つの指向性アンテナを用いるシステムモデルを採用し,メディアアクセス制御によって二方向から到来したデータやACK(確認応答)を経路内干渉することなく同時に送受信することを可能とします.ACKによってデータ受信失敗を判断し,再送することでデータロスを防ぎます.さらに,複数のデータやACKを同時に送受信できるシステムモデルを活かして,あらゆるネットワークで効率的に通信資源を利用するためのメディアアクセス制御方式の提案に取り組みます.

    データと確認応答の同時送受信

  • 干渉除去技術を用いたALOHAにおけるDoS攻撃の影響と対策

  • 無線センサネットワークやアドホックネットワークは,情報収集や災害時におけるネットワークとして注目されていますが,ネットワークがセキュリティ攻撃を受けた場合,ネットワークが利用不能になることが予想されます.したがって,これらのネットワークを利用する上で,セキュリティ面の課題を解決する必要があります. セキュリティ攻撃にはさまざまな種類がありますが,その1つに「DoS攻撃」と呼ばれるものがあります. 例えば,Webサイト上でコンサートのチケットを予約する際,Webサイトへ接続しづらくなる,といったことを経験したことがある方もいるのではないでしょうか.これは1つのWebサイトに対してアクセスが集中してしまい,アクセスの量に対して処理(チケットの予約)が追いつかないために起こる現象です. DoS攻撃は,意図的にこの現象を引き起こすような攻撃を指します.つまり,あて先となる端末に対してむやみに通信を試みる(アクセスする)ことで,ほかの端末の通信を妨害します. DoS攻撃は端末へむやみにアクセスすることのみで成立する攻撃であるため,メディアアクセス制御によって対策する必要があります.

    本研究では,アクセス制御方式のうち,ALOHAと呼ばれる方式を対象にDoS攻撃の影響を調査し,対策を行うことを目標としています. ALOHAはセンサネットワークやアドホックネットワークに適したアクセス方式の1つで,さまざまな種類のALOHAが提案されています.そこで本研究では,ALOHAのうち,より正確に情報を伝送することができるALOHAを対象にDoS攻撃の影響と対策を調査しています.

    センサネットワークのDoS攻撃