スマートファクトリグループ
データ管理やシステム制御,モニタリングなどにIoTやAIの導入することで生産性の向上,作業者の負担の軽減や安全性の確保による働き方の改善を実現するスマートファクトリが進められています.その一方で,このようなIoT機器は有線や人手による管理が行われており,ワイヤレス電力伝送による駆動電源の確保が期待されています.
そこで,私たちは設備内に疑似的な遮蔽空間を作り出し,空間内に閉じ込めて局在させた電磁界分布をコントロールすることで複数のIoT機器への時分割給電を行うシステムの開発を進めています.給電に使用する周波数の電波は遮蔽空間内に閉じ込められ,情報通信に使用する周波数の電波は遮蔽空間から外へ出ていくため,遮蔽空間外から通信可能です.もちろん,遮蔽空間内でのワイヤレス通信も可能です.
データ管理から電力供給まですべてデジタル化し,作業効率向上や24時間連続稼働の実現による生産性の向上と,作業者の負担の軽減や安全性の確保による働き方改革を両立できる社会の実現を目指します.
提案方式は複数のモジュールに給電が可能です.これまでに人が複数名入ることができる遮蔽空間において,提案方式で10個の受電モジュールにワイヤレス電力伝送を実現しています.手のひらサイズの受電モジュールで,各受電効率は30%から40%を達成しています.現在,更なる効率改善や受電モジュールの小型化,送電周波数の制御などを研究しています.
主な成果
Y. Tamura, H. Saeki(Murata Manufacturing Co., Ltd.), M. Tamura,“System Design of Cavity Resonance-enabled Wireless Power Transfer Based on Filter Design Theory,” IEEE ACCESS, vol. 12, pp.43341-43349, Mar. 2024.
S. Akai, H. Saeki(Murata Manufacturing Co., Ltd.), M. Tamura, “Power Supply to Multiple Sensors and Leakage Field Analysis Using Cavity Resonance-Enabled Wireless Power Transfer,” in Proc. 2022 IEEE MTT-S Int. Microwave Symposium, Denver, CO, Jun. 2022, pp.271-274.
D. Fujii, M. Tamura,“Design Method for Differential Rectifier Circuit Capable of Rapidly Charging Storage Capacitor,” IEICE Trans. Electronics, vol. E104-C, no. 7, pp.355-362, Jul. 2021.
S. Nimura, D. Furusu, M. Tamura,“Improvement in Power Transmission Efficiency for Cavity Resonance-Enabled Wireless Power Transfer by Utilizing Probes With Variable Reactance,” IEEE Trans. Microwave Theory and Techniques, vol. 68, no. 7, pp.2734-2744, Jul. 2020.
プレスリリース
2023年9月28日
豊橋技科大と近藤製作所、産ロボ向けロータリージョイント開発, 日刊工業新聞.2022年10月19日
ロッカー格納物をまるっと充電,村田などが「効率1割」の新型無線給電, 日経クロステック/日経エレクトロニクス.
他、多数